高城統一展望台 (韓国 江原道)

(2019/05/04)

韓国と北朝鮮を分ける38度線。この境界線に近く、もっとも高緯度にある展望台がこの高城統一展望台だ。近年までは低層の建物しかない展望場所だったが、2018年に整備され新たに背の高い立派な展望施設が建設された。

さて、この高城統一展望台だが、アクセスはとても大変な場所にある。というのも殆どの人は韓国国内の移動方法は都市間はKTXになるだろうが、このKTXは江陵までしか延びておらず、ここからまだ50Km以上の道のりがある。日本人で訪れた人の情報を見ると多くは束草市まで移動して、そこからタクシーのチャーターという流れが多いらしいが、自分はレンタカーなのでアクセスはかなり楽だった方だ。もしハングルが殆ど判らず、足(レンタカー)も無い場合は絶望的にアクセスが難しいところだと思う。

のどかな田舎の道路に見えるが、写真の道路前方に見える看板は、有事の際に脚を爆破して道路を防ぐ構造となっている。着実にDMZ地帯に近づいている事を実感させる。

レンタカーでのアクセスであれば日本人でも容易にアクセスが可能だ。束草から北に延びる道路をまっすぐ行くと途中に統一安保公園というところがあり、そこでまず受付を済ませなければいけない。高速のような延々と延びる道路の途中に交差点がありそこを右に曲がるとこの場所がある。最初見落として進んでしまったが、後続のバス等が続々と曲がってゆくので気づくことができた。

日本語どころか英語の案内も全然ない、が人の流れでだいたいわかるのでそれほど心配いらない。私も事前の情報収集はそこそこでしかなかった。
統一安保公園の駐車場。この停め方!唖然とするが従うしかない。
見た目完全ハングルのためどう書いていいか判らないが、見本を見ればおおよそ判る。
右上から名前、生年月日、ときて横の細かいとこはよくわからないがおそらく年齢別とかの人員数のようだ。その下の二つの項目はわからなかったが右下は携帯電話のようだ。その下枠は同行者とその年齢かなと思う。自分はこれらをアルファベットで記入したがそれで申請は受け付けてもらえた。わかるとこ以外記入しなかったがだいたいでいいようだ。住所は滞在先ホテルのものを記入。電話番号は+81からなる国番号付の携帯番号を書いた。

ここの受付所で申請書を記載して許可証?チケット?を貰うのだが、そこの申請書はハングルオンリーで英語表記もないためここが最初の関門となる。
まず記入する用紙を購入し、記載したら更にお金を支払いチケットのようなものに換える。なぜ2段がまえになっているのかがわからないが、一応こうなっている。まわりはおみやげ物屋やおでんなどの軽食が売っており、ちょっとしたサービスエリアのようになっている。ただ、ここの問題点は言語の表記もさることながら(せめて英語表記は併記してほしい)、車の停め方だ。車は来た順にどんどん停めてゆく。警備員がそのように指示するのでどうしてもそうされてしまう。前後左右にも車が停まってゆくため、申請だけ済ませてすぐ行きたい場合でも前後左右の車が動かないと事実上抜け出すことができないのだ。訪れた日は土曜日で天気もよかったので平日はこうではないのかもしれないが、韓国の駐車に対する意識を垣間見気がする光景だった。

検問所を通り過ぎてかなり離れてからの撮影のためぼけて見える。さすがに軍人が見える場所から撮影をするだけの勇気はなかった。検問所の軍人だが、アメリカとかとちがいかなり印象はやわらかく、こちらが日本人と知っても特に詰問とかはなかった。

申請を通したあとはまた本線にもどり北上する。途中、軍の人による検問所がある。ここで先ほど得たチケットのようなものを見せると今度はカードのようなものを渡されてこれを車のダッシュボードに見えるように置いて更に北上してゆく。この検問所は途中に一箇所のみらしい。

駐車場は既に多くの車で埋まっていた。展望台が小高い丘の上に見えるが、駐車場からまだ歩かなければいけないことが判る。

暫く進むとDMZ博物館がありその先に統一展望台の駐車場がある。小高い山の上に展望台があるため、博物館あたりから展望台を遠目にだが確認することができる。今回時間が押していたことと車の混み具合を鑑みて博物館はスルーし展望台の見学に絞った。

駐車場まわりにはお決まりのおみやげ物屋さんがならぶ。扱っている商品は日本人からすると微妙に感じるかもしれない。

駐車場はかなり広かったのだが、すでに殆どのスペースが埋まってしまっていた。この日は土曜日で天気が良かったこともあり多くの人足が向かっていたようだ。駐車場周りには食事処やおみやげ物屋が並んで、DMZではあるもののここが観光地である事を改めて思い知らされる。

なぜか手すりも無い坂でけっこうきつい。これだけ他が整備されているのになぜここの登り口だけはこんなにも整備されていないのだろうか?

展望台には駐車場から少し急な斜面を登っていかなければならない。足腰の弱い人やご老人は展望台近くまで車で移動できるようだが、警備員がいるので皆おとなしく駐車場から歩いているようだ。

旧統一展望台の建物。文字表記がハングルではなく漢字なのがわかる。高さは見てのとおり低いが、反対側が崖のようになっているので十分な展望を確保できている。
旧展望台の右手前にポストがあった。ここから手紙をだせばこの展望台の消印がつくのだろうか。
新展望台。旧展望台から高さといいデザインといい進化しすぎ。

登ると正面に見える白い建物が旧展望台。こちらは高さが無くせいぜい2階程度のもの。その左手に新たに出来たのが現在の高城統一展望台。2018年完成で旧展望台から大幅にグレードアップしている。

新展望台の中。DMZで作られた生産物は韓国ではブランド物みたいな扱いらしい。ここはその紹介スペースのようだ。
エレベーターで上がった展望台の様子。とにかく人が多いのがわかる。ここまで多いのは韓国ではNソウルタワー以来だ。訪れるなら平日の人の少ない時をお勧めする。

新展望台はエレベーター完備で展望床の地上からの高さも十分で、北朝鮮方面をしっかりと展望することができる。この日は晴天にも恵まれかなり北朝鮮側の見晴らしもよく、多くの人がカメラを片手に記念撮影に勤しんでいた。

展望台から北朝鮮側を望む。写真中央に海に出っ張った島が見えるがここが北朝鮮との境になるらしい。その手前側は韓国のDMZ側。つまり展望台からはそれほど北朝鮮が見えているわけではない。
展望台からみえた北朝鮮側の山。山の上に監視施設があるのがわかる。北朝鮮側の施設らしい。
展望台から韓国側を望んだところ。山々の途中に整備された部分が垣間見える。反対側の北朝鮮側と景観がかなり異なるのがわかる。

ここから北朝鮮の一端を見ることができる。もちろん視界に入ってくるもので北朝鮮の生活がわかるようなものは一切ないのだが、それでもこの風景がそうなのかと思うと感慨深いものがある。日本人である自分がそう思うのだから、同族がいる韓国の人はなおさらだろう。この展望台の混み具合もそう考えるわかるような気がする。

駐車待ちの車の列。

展望台から見学を終えて戻ってくると駐車場は駐車入れ待ちの渋滞が出来ていた。時間はお昼を回ったあたり。土曜日や休みに訪れるなら午前中でないとこの渋滞に巻き込まれて時間を相当ロスしてしまうのだろう。

旧展望台の展望施設。建物の古さが歴史を感じさせる。
展望台横の大仏像とマリア像。この二つの像とも北朝鮮側を向いている。世界平和のためということだろう。背景の海の蒼さがよけいに際立つ。
戦闘の記念碑。ここが351高地は朝鮮戦争時に重要拠点である金剛山を手に入れるため双方の陣営が激しく争った場所でその記念碑だ。
新展望台を横から見たところ。独特の形をしているのがわかる。

高城統一展望台