高層タワーは計画中止が多い (雑記)

(2017/10/11)

街のランドマークとして計画がなされる高層タワーだが、これが結構計画中止というものが多い。解決しなければいけない課題(土地、周辺の環境、立地、そして技術)が多いこともあるが、なんといってもコストの問題が大きいだろう。
ここでは計画されては消えていったビックプロジェクトなタワー達を紹介したいと思う。随時調査は行うのでそのつどこのページは更新をかけてゆく。

台湾:台湾タワー

台湾、台中市の水湳飛行場跡地に建設予定だった台北101を超えるとされたタワー。2011年建築計画でコンペにより日本の建築家藤本壮介の作品が選ばれたことで日本でも報道がなされた。中間がフレームだけの構造となっていて、さながら空中庭園のような様子となっており、他のタワーとくらべて非常に特異な構造となっている。
しかし2015年に正式に計画の中止が宣言される。建築のコストがあまりにも高額にのぼる(計画当初の予算80億元(約300億円)からほぼ倍になる見込み)というのが主な理由らしいが、コンペを行った市長のあとに就任した市長との確執とか、前市長の実績作りだととかと色々な噂が流れている。
どちらにせよ、台中市に作る高層タワーとしては分を超えているのは計画を見れば明らかであり、仕方ない結果だったのかもしれない。

 

中国 長沙市:空中城市


遠大集団が中国湖南省長沙市望城区に計画した超高層ビルで838mとして計画された。2011年に計画発表、2013年着工で2014年に竣工予定と相当な短納期を喧伝していたが、これは別の場所でユニット単位で構造物を製造し、現場で組み合わせるユニット工法のようなものを考えていたらしい。結局地元当局から建設許可がおりず、2016年に正式に計画断念。現在建設予定地は養殖場となっているらしい。

ドバイ:ナキールタワー

ドバイに計画されたスーパータワー。ブルジュ・ハリファは828mだが、このナキールタワーについては1600mという超高高度の高層ビルとして計画された。
2008年には基礎工事が開始されたが、おりからの原油価格の低迷によりデベロッパーのナキール社が経営危機に陥ってしまったため、2009年に建設延期が宣言なされ、2011年には建設中止という結果となった。

 

ハノイ:ハノイテレビ塔

ベトナム国営テレビ(VTV)、ベトナム国家資本投資経営総公社(SCIC)及びゴルフ・リゾート運営のBRGグループ(BRG Group)という3社間で、2015年にベトナム・ハノイにアジア最大のテレビ塔を建設するということを発表した。高さ636mのテレビ塔だけではなく、1万人規模の人員を集客できるイベント施設などを含むコンプレックス施設になるとされた。
しかし2017年7月にVTV及びSCICがテレビ塔合弁会社から出資を引き上げると発表されて計画は頓挫している。現段階では政府は再出資計画の再編案を官報に出したということだが、この経緯はそのまま中止という流れになるだろう。

 

ホーチミン:サイゴン・ワン・タワー

ホーチミンに建設中だった、完成すれば3番目に高かったであろうタワー(1番目はビテクスコ・フィナンシャルタワー、2番目がベトコムバンク・タワー)。2009年の着工で80%のところまで建設が進んだが、デベロッパーの資金不足により2011年以降は途中で建設が停止してしまい、数年の放置の末に2017年に差し押さえとなってしまった。完成すれば地上42階、地下5階の高層ビルになる予定だった。
超高層タワーというわけではないが、かなり建設が進んだ段階で建設が停止してしまったという珍しい例なので記載してみた。北朝鮮の柳京ホテルみたいな感じなるのか?(柳京ホテルは2017年には開業というような話もちらほら)

 

ソウル:ソウルDMCランドマーク・ビルディング

開業したロッテワールドタワーが地上123階555m。それを超える超高層ビルディングがソウルに計画されていた。地上133階690mの高層ビルとして2009年10月に着工予定だったが、市況の悪化によりでデベロッパーに続行余力もなく、2012年に計画中止となった。計画の途中で韓国財閥のLGグループが興味を示し、グループ企業を集めてLGタウンとする構想があったらしいが、計画の頓挫とともに立ち消えとなった。

 

仁川市:仁川タワー

韓国、空の玄関口ともいえる仁川国際空港をかかえる仁川市に計画された500m越えの超高層タワー。計画当初は地上151階587mとアナウンスされたがた、後に102階、487mに変更された。しかしデベロッパーのやはり継続能力の問題があり2014年に計画の失敗が宣言された。

 

ジャカルタ:ジャカルタタワー

インドネシアのジャカルタに558mの高層タワーの計画があった。デベロッパーは地元の企業組合。しかしこの計画は1997年頃からあり、2009年にインドネシア開発当局と計画が合意したと伝えられたが、2017年現在でも計画は保留中のままになっている。
このタワーの計画当初はスハルト政権時だったが、その時にインドネシアでもっとも高いランドマークタワーを建設しようと考えタコとが発端らしい。
タワーはオフィス・モール・アミューズメント施設等のコンプレックスタイプとなることが想定されているらしく、建設用地としても広大な土地が設定されていた。未だに(2017年現在)正式な計画中止がアナウンスされていならしいが、ほぼ無いようなものでしょ。

 

ブルジュ・ムバラク・アル=カビール

クェートのスビヤで計画された250階、1001mという超々高層ビル。マディナ・アル=ハリールという都市再開発計画の中に組み込まれた高層ビルの名称で、クウェートの元の首長の名前にちなんでいる。2005年には計画はアナウンスされており、完成イメージは2006年に公開されている。2009年頃には2016年完成予定と言われていた。しかし2014年には計画は中断、再編されることになった。